心の清涼剤

胸の辺りがスーッとする読後感

グレート・ギャツビーを読んで<読書感想文part2>

「彼女にあまり多くを要求しない方がいいんじゃないかな」と僕は思い切って言ってみた。「過去を再現することなんてできないんだから」
「過去を再現できないって!」、いったい何を言うんだという風に彼は叫んだ。「できないわけがないじゃないか!」

 

時間は一方向にしか流れないという物理的な現実。
そのつまらなさ。

 

「すべてを昔のままに戻してみせるさ」と彼は言い決意を込めて頷いた。

 

彼は本気だ。
その言葉に一点の曇りもない。
それが全面に溢れている。隙間なくきっちりと。
自分はそれだけのために存在しているんだと一点の疑いもなく。

 

「ギャツビーという男、いったい何者なんだ?」

 

過去も未来もないその時点だけで存在しているような人物。
まるで光の反射だけによって映し出されている幻影のような。
そこにあるのは美しさではなくて破滅の予感。脆さ。
ハッピーエンドはあり得ない。

 

ギャツビーのそんな話に耳を傾けているあいだ、そのあまりの感傷性に辟易しながらも、僕はずっと何かを思い出しかけていた。

 

懐かしい音楽を聴いた時みたいに。
最初の数音を聴いただけで一気に蘇るもの。
しっかりと掴もうとすればすり抜けていく。
それでも懲りることなく僕らは手を伸ばし続ける。

 

あの有名な最後の一文。この名文にたどり着く為だけでも一読の価値がある。
胸の辺りがスーッとする爽快感。読み終えた後に変わる光の見え方。
あの夏という季節そのもののように。
それを感じるならギャツビーという人物は今も何処かで存在し続けている。

note.mu

スカイクロラを読んで<読書感想文part1>

天気が良い。土手に上がり、鉄橋を渡った。そのあとは、ずっと真っ直ぐで、スクータのエンジンがこれ以上回転を上げられないのが痛ましかった。
この乗り物は、飛行機よりもずっと飛んでいる感じがする

 

僕もそう思う

 

空の上と地上
どっちが現実?
そういう話はしない
これはそこから離脱するための小説

 

アスファルトの道路をスクーターで走る
もう何回も走った道路
白線の塗料が摩耗してところどころで消えかけている
この白線はいつからこの場所に引かれているのだろうと考える
新しいものではないからもう何年も、十年以上は経っているんじゃないか
もしかしたら僕が生まれる前、もっと昔からかもしれない

 

途中にコンビニがある
相変わらずまばらな客数
駐車場だけは無駄に広い
これも昔からこの場所にずっとある
よく潰れもせずに頑張っていると思う

 

空が青い
その言葉がとても重要だと思う
新緑の青葉がまぶしい太陽でキラキラ光る
生ぬるい風が肌の表面をなでるように通り過ぎる

 

ミラーをチラチラと見て後ろから車が来ないか確認する
車が来ない内は良い
この道路を一人で独占している感じ
とても自由に
車がやって来ると厄介だ
一気に緊張感
さっきまでのポカポカな空気は破られる
あっち側にしてみればこの小さなスクーターは邪魔なだけだろう
ノロノロ走ってんじゃねーよと
優劣はハッキリしている
法定速度を守っているのはこっちの方だけど
さっさと追い越してくれと思う
すれ違う時の横顔は確認しない
追い越した車の後ろ姿を見送る
スピードが上がって一気に引き離される
ざまあみろと思う
この空気の美しさを知らないんだ
目的地に向かうだけで飛ぶことを知らない人たち

 

「さもないと、永遠に私たち、このままだよ」
そうだ、と僕は思った。
「ずっとこのままだ」

 

そうかもしれない
僕もそう思う

 

けれど・・・・・・、
少なくとも、昨日と今日は違う。
今日と明日も、きっと違うだろう。
いつも通る道でも、違うところを踏んで歩くことができる。
いつも通る道だからって、景色は同じじゃない。
それだけでは、いけないのか?
それだけでは、不満か?

 

彼女はどっち側だろうか
もう彼女は空を飛ばない
地に足のついた大人

 

離脱したい
一瞬そう思う
彼女の視線に晒される
露わになる僕の身体

 

それはきっと、防衛本能だっただろう。
僕は、
いつだって、
そうして、
生きてきたのだ。
そうしなければ、
生きてこられなかったのだ。

 

空が青い
山の頂の遥か向こうまで
ツバメが低く飛ぶ、植物の匂い
道端に黄色い花が咲いている
トンネルを抜ける
青い空が続く
いつまでもこの道を走っていたいと思う
空を飛んでいるようなこの乗り物で、長い助走をつけていつかこの地上から離脱できると信じている

note.mu

タイムリミット

よくわからないけどみちなりにはしってきた

なんとなくとおくにきたい気分きぶんだった

免許めんきょったばかりでがはやっていたのが本当ほんとう

助手席じょしゅせきには友達ともだちっている

深夜しんやのバイトけでわるいとはおもったけどってもらった

 

くるまなかでは流行りゅうこうのJ-POPがかかっている

友達ともだち洋楽ようがくのCDをかけたいとうけどそれだけはゆずれない

洋楽ようがくけつけない

れているJ-POPのほういにまってる

 

カッコつけるのはやめたほうがいい

 

街中まちなかけて田舎いなかほうかっている

くるまおおくなくてみちおだやかなので運転うんてんたのしめる

そらはしっかりとれている

まだ午前中ごぜんちゅうのこの時間じかんなので朝露あさつゆれたようなんだ空気くうき心地ここち

目的もくてきもなく下調したしらべもしていないのでまわりを見渡みわたしながら面白おもしろそうなものがないかとさが

 

友達ともだちとくねむそうな様子ようすもなくてシートにふかすわんでいるかん

元々もともとおとなしい性格せいかく

小学校しょうがっこうからのながいだからわかっている

たがをつかいうようなまずさはないはず

 

道路どうろ標識ひょうしき確認かくにんしながらなんとなく右折うせつしたり左折させつしたりしている

その途中とちゅうおおきなダムがある

面白おもしろそうとおもって

ほかているくるまもいてちょっとした観光かんこうスポットなのかもしれない

田舎いなかならでは

 

ダムのした見下みおろせるさくってある場所ばしょひとあつまっている

そこにおれらも近付ちかづいておなじようにした見下みおろす

それは壮大そうだいもの大量たいりょうみず一気いっき放出ほうしゅつされている

みず助走じょそうをつけておおきくジャンプしているようなイメージ

そのまわりをかこむコンクリート構造物こうぞうぶつもスゴイ

どういう手順てじゅんつくったんだろうというおどろきがある

技術ぎじゅつ蓄積ちくせきまった奇跡きせき

 

友達ともだち一言ひとことはなさない

その青白あおじろいポーカーフェイスでなにかんがえているのか

ながめの前髪まえがみかぜれている

れよとおも

 

キモイ

 

そこまでおもうとかわいそうかもしれない

 

にじがかかってる」

 

ん?

 

友達ともだちゆび方向ほうこうしめしている

 

「そう・・・」

 

おれ反応はんのうややか

だからどうしたというかんじで自分じぶんでもおどろくくらいつめたいとおも

たしかににじがかかっている

みず放出口ほうしゅつぐち付近ふきん

キレイとはわない

たりまえ

 

それこそキ・モ・イ

 

もう十分じゅうぶんだとおもってくるまかう

友達ともだちもそれにつづ

おれはタメいきをつく

これからどこにくのかをかんがえないといけない

 

くるまもどってエンジンをかけると音楽おんがくながれる

 

「タイムリミット」

 

え?

 

「このきょくのタイトル」と友達ともだち

 

おれ何故なぜきょをつかれたようなかん

 

「イイきょくじゃん」と友達ともだち

 

おれもそうおも

note.mu

見上げてごらん

夜中よなかのコンビニ

きゃくおれ以外いがいだれもいない

レジにいる店員てんいん中年ちゅうねん以降いこうのハゲかけた白髪しらがかおまるいおじさんが一人ひとり

不審ふしんそうなつきでおれ

 

雑誌ざっしならんでいるのを適当てきとうながめる

漫画まんが単行本たんこうぼん新刊しんかんている

ってパラパラとページをめくるけどにならない

むかし週刊しゅうかん雑誌ざっし毎週まいしゅうんでいた

1ページ1ページをるように

わるとつぎ一週間いっしゅうかんちきれないというくらいに

それがあるときにマンネリがぎてむのをやめた

それ以来いらい

 

適当てきとうにジュースと弁当べんとうえらんでレジにかう

店員てんいん会計かいけいをしながらおれはなしかけてくる

 

「こんな時間じかん弁当べんとうを?」

 

「え?」というおれ反応はんのう

 

余計よけい御世話おせわだとおも

確実かくじつ

若者わかものへのなげきのこえきた

 

「まあ、べつに・・・」

おれ何故なぜ戸惑とまどかんじでかえした

 

将来しょうらい心配しんぱいしているおじさん

ほかきゃくにもこんなに気軽きがるはなしかけるんだろうか

それともおれ外見がいけんかんじでのかんだろうか

そのかんただしいのかもしれない

たったひとつの不穏分子ふおんぶんしでもまっとうな社会しゃかいほころびがしょうじる可能性かのうせい

このおじさんにもまもりたいものがあるんだろう

 

おれはレシートとおりを

 

「ありがとうおじさん」

 

ぎわはな

 

「・・・」

 

出口でぐちのドアに店員てんいんかお反射はんしゃしてえる

おれはそのうつったかおけてすこ口角こうかくげて微笑ほほえんでせる

 

コンビニをるとそそくさとくるま

そのときふとそら見上みあげるとほしがキレイだ

なつ夜空よぞらはこんなにもかがやいている

 

エンジンをかけると音楽おんがくながれる

さっきまでいていた洋楽ようがくのロックのつづ

シートベルトをめてヘッドライトをとも

駐車場ちゅうしゃじょうからながれでさっきの店員てんいんほう

こうもこっちのほうている

真剣しんけんそうなかお

その心情しんじょうさっしない

 

ロックバンドのハードなおとみみをつんざく

無意味むいみ衝動しょうどう

過剰かじょうすぎる自意識じいしき

 

ほし見上みあげてごらん

 

そこにあるキレイなものが

 

おじさんには理解りかいできないかもしれないけれど

note.mu

調子はどう?

相変あいかわらず?」

 

相変あいかわらずか

そう友達ともだちかれて「まあね」とこたえた

 

れたように低姿勢ていしせいくるまむとすぐにシートベルトをめる

車内しゃないにはおおきめの音量おんりょう音楽おんがくながれている

友達ともだちはすぐにくるましてなにわずにまずコンビニに

 

いつもどおりにジュースをえらんでほかには見向みむきもせずにレジにかう

友達ともだちくるま財布さいふわすれてきたとってもどりかけるけどおれすからいいとうとまる

いつもは友達ともだちほうがおごってくれるのでこれはめずらしいパターン

友達ともだちすこおどろいたようなかおをしたかもしれない

 

たった2ほんのペットボトルを店員てんいんなにわずにふくろれる

おれみせ瞬間しゅんかん中身なかみしてふくろだけをすぐにゴミばこててみせる

そのくだらない意地いじいみたいなものをこころなかでは自分自身じぶんじしんわらっている

 

そら見上みあげるとくらなかほしかすかにひかってえる

だれかもそらうえわらってくれただろうか

 

そのあとコンビニのそとにある灰皿はいざらかこんでタバコを

友達ともだちくるま新車しんしゃ車内しゃないうのはひかえているらしい

まだ新鮮しんせん気持きもちのうちはそういうのがあるのはわかる

他人たにんのものだとわかりにくいけど

それならいっそのことこれを禁煙きんえんするのもありなんじゃないかともおも

 

そとから雑誌ざっしならんでいるのがえて漫画まんがはなしになる

おれはもうその雑誌ざっしっていなかったのではなしすじ途中とちゅうまでしからない

あのキャラクターをなせたのはもったいないとはな

きっと作者さくしゃ後悔うかいしているはずだ

友達ともだちはその漫画まんがつづきはっているはずだけどそれについてはなにわない

 

タバコをわるとくるま

友達ともだちまえけむりはらうような仕草しぐさ何故なぜふくをパタパタとはたいている

それにたいするツッコミはおれ愛想あいそうわらいで十分じゅうぶん

 

エンジンをかけると音楽おんがくながれる

今度こんどいてくことができる

当然とうぜんのようにいつもこのバンドのきょくいている

友達ともだちほか歌手かしゅには興味きょうみいのかとくといとうしわからないとも

それはおれおなじだ

 

友達ともだちれたつきでくるまかえしてウインカーをひだりして道路どうろ合流ごうりゅうする

この時間じかんではくるまとおりもすくない

カーナビの液晶画面えきしょうがめんには熱唱ねっしょうするバンドのライブビデオがながれている

その姿すがた熱狂ねっきょうする観客かんきゃくのバックしのカット

その音楽おんがくなつかしいかんじとまわりの風景ふうけいあいまって一瞬いっしゅんフラッシュバックしたような感覚かんかくがある

むねなか一瞬いっしゅんジーンとする

 

しばらくつづぐなみち

視線しせんさき点滅てんめつするあお黄色きいろ

赤信号あかしんごうまる

 

「それで体調たいちょうほうはどうなの?」と友達ともだちいてくる

 

「いいんじゃない」とおれこたえる

note.mu

沈む夕日がアレルギー

今日きょうったばかりのタバコを1いっぽんった

そしてのこりの19ほんはゴミばこてた

一緒いっしょったライターもついでにほうんだ

 

「もうなにうことないからこれでわり」

「ああ」

「タバコやめたんじゃなかったの」

「もらったんだ」

 

すこしひっそりとした雰囲気ふんいきかんじる

あまりきじゃないかもしれない

 

いまかえみちあるいている

すれちがひとたちがなにかをはなしているけどそれをけるようにはなれながらすりけていく

 

まだまだながみちのりですこ休憩きゅうけいしたくなる

タバコをてたのを後悔うかいはじめた

 

太陽たいようしず瞬間しゅんかんたいとおもって西にしほうそら

それは中空ちゅうくうただよいシャッターがゆっくりとまるようにちていく

そらはオレンジいろくもはピンクにまる

 

すこはなかゆくなってきたがする

季節きせつわりはじめたのかもしれない

何回なんかいかクシャミをしてはなをすする

ティッシュをポケットに入れてなかったのを後悔うかいした

まださむくなってきたわけじゃない

とにかくはななかみずあらいたいとおも

 

我慢がまんできずにちかくのコンビニのトイレにはい

かがみ自分じぶんかおうつしてしばらくにら

すこあかくなっているようにえる

ひさしぶりに自分じぶんかおをこんなにまじまじとつめたとおも

不思議ふしぎ他人たにんかおているような違和感いわかんすこしある

こんなかおをしてたんだっけ

 

水道すいどうみずでうがいをしてかおあら

はなからみずいきおいよく

そのあとをこすりまくりみずでバシャバシャやったりした結果けっかこのくるしみからはのがれられない

note.mu