心の清涼剤

胸の辺りがスーッとする読後感

鳩たちは

ひだりがるとなが直線ちょくせんつづ

原付げんつきのアクセルをフルに開放かいほうする

つよかいかぜあおられて一瞬いっしゅんフワッといたような感覚かんかくがある

もうここからはうみからとおざかる一方いっぽうだろう

かぜうしがみかれるおもいでうみ背中せなか見送みおく

そうやって何度なんどとおぎたみち

 

生温なまあたたかいしおにおいをつよかんじる

なつかおりだとおも

かおりというわけではないけれどこの状況じょうきょうではどんな香水こうすいよりもかぐわしい

 

ヨットがならぶハーバーでしろかぜれる

だれかにてほしいとおもった

こんなスポットがあるんだと自慢じまんしたい気持きも

 

なが堤防ていぼうつづ

そのうえのぼってりをしているひともいる

それがひまつぶしなのか本気ほんきなのかはぼくには見分みわけがつかない

 

ちかくの公園こうえんには上半身じょうはんしんはだかでベンチに寝転ねころがって日焼ひやけをしている若者わかものがいる

その気持きもちはわかる

べつにアホな行動こうどうだとはおもわない

 

赤信号あかしんごうまるとうしろをかえ

できるだけこの光景こうけいんでおきたいかんじで

水面みなもひかってゆるやかに波打なみうっているのがかる

 

しおいてそのこうにあるちいさなしましろかすんでえる

そこにかってはとれが

それをながめながらぼくはこの瞬間しゅんかんをものにしようとふかいき

これまでにないくらいにふか井戸いどのぞきこむような深呼吸しんこきゅう

もったいなくて雲散霧消うんさんむしょうしないようにかきあつめるように

この感覚かんかくあじわいくすためにここにいる

 

そのぼく姿すがたている一匹いっぴきはと仲間なかまあとおくれてって

その姿すがたをまたぼく見送みおく

器用きようはねをパタパタさせながらとおくへちいさくなっていく

 

信号しんごうあおわる

ゆっくりとひだりがる

正面しょうめんからつよかぜける

サングラスのしたすこほそめる

太陽たいよう積乱雲せきらんうんがゆっくりとかさなっていく

ならぶヨットのしろさわぐようにはためく

びと若者わかものたちはしっかりと日焼ひやけするだろう

そしてもうもどらないはとたち

 

すべてのったものは蜃気楼しんきろうれている

あのくろくてながかみがサラサラとかぜれるみたいに

そのあどけない幻影げんえいぼくこころいまでもさぶりつづける

note.mu